Research (1)


自己修復するCuInSe2化合物太陽電池の自己組織化ナノ構造と高効率化の計算機ナノマテリアルデザイン


 太陽エネルギー変換の低価格化と超高効率化のためには、自己組織化により形成するナノ超構造を舞台として、 光子によって生じた電子とホールのナノダイナミックスを積極的に利用し、 新しいクラスの超高効率太陽エネルギー変換太陽電池の計算機ナノマテリアルデザインと それらに立脚した創エネルギーに関する基礎研究が不可欠となってくる。 自己修復する不老不死のカルコパイライトCuInSe2の太陽電池欠陥制御のデザインと実証、 ナノスケールサイズのスピノーダル分解による自己組織化によるナノ超構造(量子ドット、量子細線) 超高効率太陽電池のデザインについて現状と将来展望について報告する。
 現在、全地球で一年間に必要なエネルギー13TWを地球上に降り注ぐ太陽エネルギーで賄うとすれば、 わずか1時間分の照射に相当する。太陽エネルギーは莫大なものであるにも関わらず、 太陽電池によって作られる電気は全世界で生産される電力の僅か0.015%程度である。 その理由は、シリコン太陽電池は製造コストが高く、また、 太陽光によって励起された電子や正孔の大半のエネルギーはフォノンに変換されるため効率が低いためである。 高効率化のためには、自己組織化量子ドットや量子細線を形成し、量子閉じこめにより、不連続準位を形成し、 光によって励起されたエネルギーがフォノンへと流れることを禁止し、 エネルギー保存則による逆オージェ効果を積極的に利用して、一つの光子に対して3~7個の電子とホール対 (エキシトン)を創成する新しいクラスの超高効率太陽電池の実現が不可欠である。


図1:ナノスケールサイズの量子ドットや量子細線の形成により、 不連続な準位が生じて、フォノンによるエネルギー損失が少なくなり、 伝導帯に励起された電子が低いエネルギー準位へと落ちるときのエネルギーを利用して、 価電子帯中の電子が励起され、また、光励起によって創られた価電子帯中のホールが、 価電子帯の浅い準位に遷移するエネルギーを使って、他の価電子が伝導帯に励起される(逆オージェ効果)。
 熱平衡状態では母体半導体に固溶しない化合物を非平衡結晶成長条件下で成長させようとすると、 ナノスケールサイズのスピノーダル分解によりナノ超構造が自己組織化により作成でき、しかも、 これらの形状や密度およびサイズについても結晶成長の条件(温度、濃度、結晶成長速度)を制御することにより、 計算機ナノマテリアルデザインに基づいて自由に創製し、 昆布相と呼ばれる擬一次元ナノ超構造の形成を自己組織化により作製することが最近我々の研究により示された。